実験室 Vol.10

もう紙のFAXはいらない?
進化したパソコン用FAXソフト


まいと〜くFAX2001
インターコム
販売価格:5,500円くらい

 今までは実際に買った製品ばかりを取り上げてきましたが、これはまだ買っていません。メーカーのウェブサイトからダウンロードした体験版を使いました。近ごろはインターネットで体験版を配布するメーカーさんが増えてますが、買う前に機能をじっくりと試せるというのはいいですね。今回はFAXソフトのモデム共有機能を中心にレポートします。

FAXソフトを使ったことがない人への前書き

 パソコンを使ってFAXを送ったり、受け取ったりできるのがFAXソフトです。そんなことわざわざ言わなくても分かってるかもしれませんが、いちおう約束事なので最初に触れておきます。こういうレベルが低い話なので、FAXソフトが何だか分かっている人はこの項目は読み飛ばしてください。
 で、パソコンでFAXすると何がうれしいかといえば、FAXを送るという作業がぐんと簡単になります。最近は書類のほとんどをパソコンで作成するでしょうが、その書類をFAXで送ろうとすると、いったんプリンターで印刷し、それからあらかじめ用意しておいた送付状に宛先の名前を書き込み、その2つをFAXにセットし、相手のFAX番号をダイヤルする。まあ、こんな手順でしょう。
 会社の場合でやっかいなのが、送付状を切らしてしまったとき。「誰や? 最後の一枚を使ったんは? 残りが少なくなったらコピーするって決まりやないか!」と文句をいいながら、総務担当を探すと、こういう時に限って席を外している。「送付状のファイル、誰か持ってへんか? 急ぎで送らなあかんFAXがあるねん」とみんなに尋ねてみるけど、みんな忙しいので聞こえぬふり。「他にやることがぎょうさんあるのに、なんでこんなことしてるんやろ」と思いながら、送付状らしきものを手書きで作り、ようやくFAXを送る準備が整う。そこに「あら、ごめんなさい。送付状の残りが一枚だけだったから、コピーをとってきました」と、アルバイトの子が送付状の束を持って帰ってくる。よくあるケースです。
まいと〜くFAX2001をインストールすると、プリンターフォルダにMytalk FAXという項目が追加されるのです。
 これをFAXソフトでやると、すべてパソコンの上で済ませられます。プリンターがふさがっているとか、送付状がないだとか、走り回ったり、周りの人に当たり散らしたりすることもありません。でも、「FAXソフトを起動したり、いろんなコマンドを打ち込んだり、使い方が面倒なんじゃないか」とパソコン不信のお父さんもいらっしゃるでしょう。そんな固定観念を打ち砕くべく、まいと〜くFAX2001でFAXを送る手順を見てみましょう。
 たとえば、ワードで作った書類(別に一太郎でもいいんですが)に、簡単な説明を付けた送付状をつけてFAX送信するとします。まず、ワードのメニューから印刷を選びます。ここでふつうと違うのは、印刷先としてプリンターではなく、Mytalk FAXを選ぶところ。こうすると、印刷するデータはプリンターでなく、FAXモデムへと送り出されるのです。わざわざFAXソフトを起動したりという手間はないんですね。プリンターを使う感覚でFAX送信できるのです。
 で、印刷ダイアログボックスのOKボタンを押すと、まいと〜くFAX2001に内蔵の住所録が開き、誰に送信するかをマウスで選びます(お得意さまはあらかじめ登録しておきましょうね)。また、送付状が必要なら、クリック1つで自動作成してくれます。相手先の部署や名前も、住所録のデータを参照して自動入力されます。最後に確認画面があらわれるのでマウスでクリック。これでおしまい。
 どうです? これなら使えそうでしょ?

1 メニューから印刷を選択 2 プリンタ名に「Mytalk FAX」を選択

3 アドレス帳から送信先を選ぶ 4 送付状を添付するか指定する

FAXソフトを使ったことがある人への前書き

 僕もFAXソフトが便利だと頭では分かっていながら、実際にはあまり使いこなしていませんでした。送信にはFAXソフトを使うことがあるけど、受信は紙のFAXです。まあ、2つを使い分ければいいのですが、できればFAXソフトに統一してしまいたいもの。
 受信にもFAXソフトを使うにはいくつかの問題を解決しなければなりません。家で1台だけのパソコンというなら話は簡単ですが、会社で複数のパソコンがあるとやっかいです。

  1. パソコンの電源を24時間オンにしておかなければならない
  2. どれか特定のパソコンでしかデータを見られない
  3. パソコンの台数分だけモデム(もしくは回線)が必要になる

 1番だけは仕方ないにしても、2番と3番はソフト側の工夫でどうにかなりそうなもの。それに解答を示したのが今年になって登場したFAXソフトの新バージョンです。
 ここで取り上げるまいと〜くFAX2001の他、STARFAX99(メガソフト)、WinFax PRO(シマンテック)、EasyFax2000(エー・アイ・ソフト)など主要FAXソフトはいずれもモデム共有機能を備えています。1台のパソコンにつながったFAXモデムを、ネットワーク上の複数のパソコンから共有できるわけです。
 プリンターの共有機能はWindowsNTはもちろん、Windows95/98でも標準で備え、すでに実行しているオフィスが多いはずです。でも、モデムの共有機能はWindowsにありません。モデムを共有するソフトも発売されていましたが、業務用として価格が高く、手軽に導入できるものではありませんでした。それが今や、数千円の個人向けFAXソフトで実現できるのです。

1台のFAXモデムを複数のパソコンで共有できる

 まいと〜くFAX2001では、インストール時に「サーバー」か「クライアント」かを選択します。もちろん、FAXモデムをつないだパソコンではサーバーを、それ以外のパソコンでは「クライアント」を選びます。なお、ここでインチキできないのは、インストールする台数分だけまいと〜くFAX2001が必要になること。シリアルナンバーをチェックしているので、同じナンバーがあるとサーバーがはじいてしまいます。5〜6,000円のソフトなので買ってしまいましょう。
 サーバーになるのはWindows98かWindowsNT4.0のどちらかです。Windows95にはサーバーとしてインストールできません。また、最大クライアント数は10台に制限されています。まあ、それ以上にクライアントが増える場合は、もっとしっかりとしたFAXサーバーを構築した方がいいでしょう。SOHOレベルなら10台で困ることはないはず。
FAXが届くと右端のアイコンの色が変わる。
 で、まいと〜くFAX2001がすぐれているのは、受信したFAXがすべてのクライアントに同時に配信される点。FAXを受信すると同時にクライアントでもタスクバーのアイコンが明滅し、すぐにFAXが届いたことが分かります。
 他のFAXソフトがどうなっているかは試してないので分かりませんが、シマンテックのWinFax PROではサーバーに蓄積されている受信FAXを手動で確認する必要があるようです。しかし、WinFax PROは他に強力な機能があり、サーバーにつないだ2台のモデムを同時にコントロールできます。大量にFAXを送る場合は2台で並行して送信したり、1台で送信しながらもう1台で受信したり。クライアント数の上限も25であり、中規模クラスのオフィスでも対処できそうです。
サーバーでもFAXの送受信が可能。見分けるにはタイトルバーを見るしかない。
 さて、話を戻すと、サーバーでもクライアントと同じようにFAXの送受信ができます。これはサーバー専用機を設けなくても、誰かが犠牲の子羊となればいいということ。ただし羊さんのパソコンでは、クライアントの誰かがFAXを送信するたびに、送信状況を示すウィンドウがポップアップ。僕が羊さんだったら多分30分でキレます。また、羊さんのパソコンはハングアップすることが許されません。何かへんてこなことをやってハングさせると、会社のみんなからいじめられます。だって、ハングしている間にFAXがくるかもしれないし。
 やはり、オフィスで使うならどんなヘボマシンでもいいのでサーバー専用機を設置した方がよさそう。別にPentiumIII Xeonなんて必要ないし、Pentiumクラスの誰も使いたがらないパソコンで十分です。実験室 Vol.5のミニノート「Libretto20」をサーバーに使うで紹介したようにノートパソコンでもいいでしょう。
FAXを送受信するときにあらわれるウィンドウ。グラフィカルで分かりやすいです。

 もちろん僕はLibretto20にサーバーをインストールするつもりです。24時間つけっぱなしでもうるさくないし、今さらクライアントとしては使えないしね。ただ、Libretto20のメモリーは20MBが上限です。すでにファイルサーバー、プリントサーバーとして動いている上に、FAXサーバーとして使えるのか? また、Windows98をトラブルなくインストールできるのか? そろそろパワフルなノートに取り替える時期が来ているのかもしれません。

受信FAXはウェブブラウザでも確認できる

 さらに共有機能で面白いのが、受信したFAXのデータをウェブサーバーに自動転送し、クライアントからはウェブブラウザで確認できるというもの。どういうことかというと、クライアント側のマシンにまいと〜くFAX2001がインストールされていなくても、受信したFAXの内容を確認できるということです。
 たとえば、携帯端末で外出先から会社にダイヤルアップし、電子メールだけではなく、届いているFAXもいっしょに確認できます。JPEGファイルを読めるブラウザなら何でもいいので、WindowsCEでも、INTERTOPでも、ザウルスでも、コミュニケーションパルでも、そのほかはもう思いつきませんが何でもこいです。
 ウェブサーバーといっても別にたいそうなものではなく、Windows98に付いているPersonal Web Serverで十分です。というか、ASP(active server page)を使っているため、マイクロソフトのPersonal Web ServerとInternet Infomation Serveにしか対応していない。ちょっとサーバー管理の知識が必要になりますが、ほとんど追加投資をすることなく、イントラネット対応のFAXサーバーを構築できます(こういうとなんかかっこいい)。
 うちでも試しにやってみました。簡単です。まだダイヤルアップサーバーは立ち上げていないので外部からのアクセスは実験していませんが、LAN上では快適に動いています。受信FAXはJPEGファイルに変換してからサーバーに転送されます。1枚のサイズがだいたい100〜200KB(設定により変更可)。携帯電話じゃきついかもしれないけど、PHSならそこそこのスピードで見られるはず。
 ただ、まいと〜くFAX2001専用のFAXビューアーに比べると機能が限られてしまいます。専用ビューアーでは拡大率を自由に設定できたり、原稿のゆがみをなおしたり、メモを書き加えたり、けっこう高機能です。ところが、ウェブブラウザではFAXを選んで見るだけ。本当に見るだけで、拡大縮小や回転はできません。まあ、外出先からのデータ確認だけならこれだけでもいいんでしょうが。
左がまいと〜くFAX2001の専用ブラウザ、右がウェブブラウザ。専用ブラウザは機能が豊富だが、ウェブブラウザではFAXを見るだけ。もちろんJPEGファイルを保存すれば、さまざまな加工も可能になる。なお、写真をクリックすると拡大します。

次回のバージョンアップに期待したい点

 このようにネットワーク機能は充実していますけど、いくつか不満な点もあります。
 まず、クライアントからはサーバーのモデムしか使えません。たとえば、ノートにクライアントとして使うと、ノート側のモデム(または携帯電話/PHS通信カード)を使えなくなってしまうのです。つまり、ネットワークに接続した状態ではサーバー経由でFAXを送れるけど、いったん外に出てネットワークから切れてしまうと、せっかくのFAXソフトを使えなくなってしまいます。
 まあ、会社にダイヤルアップして、サーバーに接続し、そこから送るということが理論的にできないではありませんが、ちょっと面倒すぎます。メガソフトのSTARFAX99ではモードの切り替えができるため、ノートユーザーはこっちの方がいいかもしれません。
 もう一つ、クライアントライセンスというものがありません。クライアントの台数分だけパッケージを購入しなければならないのです。他社製品を見ると、クライアントライセンスだけを割安に販売したり、サーバーとクライアントライセンスのセット商品を準備したりしています。とはいえ、まいと〜くFAX2001は最大10クライアントという制限があるので全部で6万円弱。これを安いと見るか、高いと見るか?
 というわけで、共有機能を中心に見てきたわけですが、これ以外にもたくさんの機能があります。まだ全部を試しきっているわけではありません。気付いたことがあれば、また追加します。
 で、僕がこのソフトを買うかどうかですが、Libretto20で正常に動作し、なおかつ自宅のTAがiナンバー(月300円で2つ目の電話番号をもてるというサービス)に対応してくれたら、すぐにでも導入する予定です。



トップページに戻る