実験室 Vol.3

PCカード型PHS「MC-P110/TD」で
快適モバイル生活



PC-P110/TD
(製品情報)
セイコーインスツルメンツ
購入価格:16,800円

 このカードをノートパソコンのPCカードスロットに差し込むだけでワイヤレス通信ができるというスグレモノ。こんなすばらしいカードを作ったセイコーインスツルメンツはエライッ!
 ふつう、PHSで通信をするときは、PHSデータ通信カードとPHS電話機とをケーブルで接続する必要がありますが、MC-P110/TDはカードにPHS電話機を内蔵しているので面倒な接続が一切不要。データ通信カードとPHS電話機が一体化しているわけですね。ちなみに、この製品はWindows95/98だけでなく、WindowsCEやMacOS、各種PDAにも対応しています(対応機種の情報)
 僕はMC-P110/TDをノートのPCスロットにずっと差しっぱなしにしています。写真を見れば分かる通り、カードが少し飛び出るだけなので、このまま持ち運ぶこともできます。
 かつては重さ3キロのノートパソコンにボックス型の外付け1,200bpsモデムをつないでいたことを考えると、本当にモバイルって楽になりました。

MC-P110/TDをセットしたところ。2センチくらい飛び出しているが、このまま持ち運んでもじゃまにはならない。アンテナも中に入っていて、感度はけっして悪くない。 これがこれまでのPHSデータ通信。通信カードをセットした後に、ケーブルで電話機をつなぐ必要がある。もうこんな面倒なことはできない。

月々580円のコストで快適モバイル環境が実現!

 さて、外見はカードであっても、MC-P110/TDはれっきとしたPHS電話機。これにも電話番号を割り当てる必要があります。すでに他のPHS電話機を持っているからといって、その番号をシェアするなんてことはできません。MC-P110/TDの購入と同時に新規の契約が必要です。
 いくらカードが小型で使いやすくても、基本料や通信料などのランニングコストが高くては使う気が失せてしまう。でも、MC-P110/TDは、DDIポケットの通話先限定サービス「Two LINK DATA」を利用できるため、月々の基本料金はわずか980円で済むのです。3カ所までの通話先番号を登録しておき、それ以外の番号には接続できないというもの。標準コースの基本料金が2,700円(DDIポケットの場合)だから、その3分の1という割安料金なのです(Two LINK DATAの詳細情報)
 しかも、すでにDDIポケットのPHSを使っているなら、複数回線割引の適用を受けられます。1回線あたり200円の割引となるので、2回線で400円。つまり、980円から400円を引いて、月々580円のコストでMC-P110/TDを使えるというわけ。
 そうそう、さらに付け加えると、DDIポケットの「昼得コース」「お気軽コース」は基本料が安い代りに、通話料が2倍になります。けど、データ通信の料金は通常コースと同じであることはあまり知られていません。高くなるのは音声通話だけです。

 

月額基本使用料

注意点

標準コース

2,700円

昼得コース

1,980円

昼間(8:00〜19:00)の通話料は2倍。データ通信料は標準コースと同じ

お気軽コース

1,350円

通話料は2倍。データ通信料は標準コースと同じ

Two LINK DATA

980円

通話先番号は3カ所限定。通話料、通信料は標準コースと同じ

カードの値段はちょっと高め

 ただし、カード自体の価格がちょっと高い(僕は16,800円で買った)。セイコーインスツルメンツはカード型PHS電話機として「MC-P100」というのも出していて、こちらは5,000円くらいと安いんです。これはMC-P100がTwo LINK DATAに対応していないため。たぶんTwo LINK DATA専用のMC-P110/TDは、DDIポケットから販売店への販売報奨金が低めに設定されているんでしょう。
 だから、トータルコストを低く抑えたいなら、「MC-P100」を買って、上の「お気軽コース」あたりを申し込むといいんじゃないでしょうか。月額の基本料は400円ほど高くなるけど、カードの価格差があまりに大きい(実はこっちの選択の方が賢いんじゃないかと、今になって気付いた)。
 ちなみに、カードの値段に加え、新規契約の事務手数料として2,700円が必要です。この手数料は後から基本料や通話料と一緒に請求書が送られてきます。

登録する電話番号を決めてから買いに行く

 MC-P110/TDを買いに行く前に、登録したい番号を決めておきましょう。いったん登録してしまうと、変更が面倒です。また、変更手数料として2,000円がかかります。
 僕は登録した3カ所の番号は次の通り。

  1. プロバイダーのPIAFSアクセスポイント
  2. ポケットMALのアクセスポイント
  3. 自宅の電話番号

 1番は当然のこと。PHS専用のPIAFSアクセスポイントを選びましょう。まあ、アナログ回線用のアクセスポイントに28.8Kbpsで接続したり、ISDN用のアクセスポイントにつなぐこともできますが、プロトコルの変換作業などで速度が落ちたり、ユーザー認証に時間がかかるのでおすすめできません。
 「ポケットMAL」というのは、DDIが提供するMAL(multimedia access line)を利用することで全国どこからでも同一料金でインターネット接続できるというもの。午前3時から午後5時までは1分10円、それ以外の時間帯は1分13円という料金です(ポケットMALの詳細情報)
 ただ、ポケットMALを使うには、加入しているプロバイダーがポケットMALと接続されていなければなりません。自分のプロバイダーでポケットMALが使えるかはDDIのサポート(0077-23-050779)に聞けば分かります。
 自宅の電話番号も登録しておいたのは、自宅にダイヤルアップサーバーを設置するかもしれないから。幸いにも自宅のTAがPIAFSにも対応しているので、将来的には外から自宅のコンピューターにアクセスできるようにしようと思っています。

通信料はどうなのか?

 気になる通信料ですが、音声通話と料金体系がちょっと違います。区域内なら70秒10円。これに1通話ごとに10円が加算されます。1分の通信料は20円、3分なら40円になるわけですね。
 音声通話と大きく異なるのが、中距離の通信料が安めに設定されているところ。隣接・30kmまでは60秒10円、60kmまでは45秒10円です。
 一方、ポケットMALは、距離にかかわらず1分10円(午前3時から午後5時)、1分13円(午後5時から翌午前3時)です。ただし、1通話ごとの10円加算がないため、短時間の通信なら安く上がるところに注目してください。1分なら10円、3分なら30円です。メールのチェックなど短時間で終わるものなら、たとえ区域内にPIAFSアクセスポイントがあったとしてもポケットMALを使った方がお得です
 まあ、どちらにせよ、携帯電話を使うよりは通信速度は速いし、通信料もずっと安くて済むのは確かです。

 

同一区域

隣接・30kmまで

60kmまで

100kmまで

160kmまで

160km以上

通常

全日

10円/70秒

10円/60秒

10円/45秒

10円/36秒

10円/26秒

10円/20秒

ポケット
MAL

3:00〜17:00

10円/60秒

17:00〜3:00

13円/60秒

心配なのは消費電力だけど

 PHS電話機を動かすにはけっこうバッテリーを消耗しそうだけど、意外にも省電力にできています。カタログによると、通信中の平均消費電流は130mAとのこと。カードモデムの中には200mAを超えるものがあるから、それほどの数値ではありません。実際に使っている感触でも、通信をしたからといってバッテリーが急激に減るということはありません。
 それに通信をしていないときはほとんど電力を消費しないので、いつもカードを差しっぱなしにしておいても大丈夫です。ただ、僕が使っているLet's note mini(CF-M32)では、カードを差したままスタンバイさせると、スタンバイから復帰した後にカードを認識できなくなるというトラブルが。仕方がないのでBIOSセットアップで、スタンバイ中にもPCカードに電源を供給する設定にしておきました。

その他で気になったこと

 実は、購入してから、うまく動かせるまで半日くらいかかりました。実にくだらない失敗です。マニュアルを読まずに使おうとした自分が悪いんです。

  1. 「ダイヤルのプロパティ」で、ダイヤル方法が「パルス」に設定されていた。なんで標準設定がパルスなんだよ(これはWindows95/98の問題ですね)。
  2. 電話番号の指定で市外局番を入れ忘れていた。通話先限定サービスなので、市外局番を含めた形で指定しないと、ダイヤルが始まりません。
  3. カードの動作モードをPIAFSに切り替えるコマンドを入れ忘れていた。ダイヤル先の電話番号の最後に「##3」の3文字を追加しておく必要があります。でないと、無線モデムモードになり、通信速度がめちゃくちゃ遅くなります。

コントロールパネルのモデムを開き、「ダイヤルのプロパティ」を設定する。 電話番号の最後に「##3」を追加しておかないと、PIAFSでの通信ができない。いちおうは通信できるけど、すごく遅くなる。

 それと、発信には番号の制限がありますが、着信は自由にできるらしいです。まあ、外出先でデータを着信する機会なんてないので、本当にできるかどうかは分かりません。それにどういう活用法があるんだろう? 謎です。
 また、無線モデムとしても使えるため、FAXソフトを準備すれば、どこからでもFAXを送信できます。たとえば、出張先のホテルでどうしてもプリントアウトする必要があるとき、ホテルのFAX番号に文書を送りつけるなんて使い方があるかと思います。
 それともうひとつ。実験はしていないけど、このカードを家庭内電話の子機として登録するという使い方ができるはずです。そうするとDDIポケットでなく、NTTの回線を使うことになるので、回線料を節約できますね。どういう御利益があるかというと、家の中でインターネットに接続するとき、モデムやTAをケーブルで接続しなくてすむということ。こたつの上でも、ベッドの中でも、はてまた便所の中でもインターネットできるわけです。
 さらに付け加えると、もうすぐDDIポケットも64Kデータ通信を開始する予定です。もし高速なデータ通信が必要なら、購入をもう少し待った方がいいかもしれません。
 ふむ、今回は不平不満を書くことができなかった。


1999年7月18日追加
 「FAXソフトを準備すれば、どこからでもFAXを送信できます」と書きましたが、TWO LINK DATAでは発信先電話番号が限定されるので、どこにでもFAXを送るというわけにはいきません。もし、FAX送信をしたいなら、TWO LINK DATAではないカードを選ぶ必要があります。自分のノートにFAXソフトをインストールし、初めてこの事実に気付きました。アホでした。なお、着信はPIAFSでしかできないため、FAXを受信するという用途では使えないようです。
 また、DDIポケットも7月末から64Kデータ通信のサービスを始めます。ただSIIから64K対応のPHS一体型カードはまだ発表されていません。早く出してほしいです。


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