感銘を受けた本・ベスト3


 これまでの人生で感銘を受けた本たちです。他の人がどんな本を大切に思ってるかも知りたいなあ。機会があればぜひ教えてください。

(1)小谷汪之「歴史の方法について」

 大学の一般教養科目の歴史学の教科書として読まされた本です。千葉大学文学部史学科での講義をまとめたもので、内容は題名が示すとおりに歴史学を勉強しようと考えている人へのガイドブックです。
 最初は「しんきくさい本」と思いながら仕方なく読み始めたのですが、読み進むにつれて世界観が180度転換するほどの衝撃を受けました。それまでも世界の成り立ちとか社会の在り方とかを考えることはあったものの、漠としたものでとても形を成すようなものではありませんでした。この本が、その後の自分のものの考え方の土台づくりをしてくれたように思います。
 僕が大学で歴史を勉強しようと思うようになったきっかけとなった本ですが、影響を受けたのは歴史学の面だけでなく、世界観、社会観、人間観のすべてにわたるといって過言ではありません。
 歴史に少しでも興味を持っている人には一読をおすすめします。自分の脳にメスを入れ、中身をのぞくような快感があります。

(2)小田実「何でも見てやろう」

 著者である小田実氏の世界一周旅行体験記です。僕が高校を卒業し、大学受験に失敗し、予備校には行かず、アルバイトをしながら、家で一人で勉強していたころに読みました。
 月並みな言い方ですが、この本を読んで「僕も世界を見てみたい」と思いました。直接的な影響としては、浪人中なのに海外旅行に行ってしまいました。まあ、親にお金を出してもらうこともできなかったので、アルバイト代をぜんぶかき集め、その額で行ける範囲ということで韓国に行きました。とにかく文字通りの貧乏旅行で、往復の船代(とても飛行機など乗れなかった)を除くと、3万円しか持っていかなかった。それでビザの期限いっぱいの2週間も居続けたのだから、若さとは恐ろしいものです(笑)。
 これがきっかけとなって東京外国語大学の朝鮮語学科に入学することとなりました。人生を大きく変えた本と言っていいかもしれません。

(3)村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」

 小説の中から一冊選ぶとすればコレ。コインロッカーの中に棄てられたキクとハシの物語です。これほどまでにイメージが鮮烈で、言葉に迫力がある小説を他に知りません。小さい頃(といっても高校生の頃)は小説家に憧れていましたが、この本を読んで「自分には才能がないな」とつくづく思いました。これだけの世界を構築する創造力もなければ、これだけ大胆に、かつ繊細に言葉を扱う感性もない。
 村上龍氏の作品としては「五分後の世界」を高く評価する人が僕の回りに多いけど、どうも理屈っぽく感じてしまう。「コインロッカー・ベイビーズ」ほどストレートに感じ取れるものがないんですね。

(番外)沢木耕太郎「一瞬の夏」

 一人のボクサーの浮き沈みを追い続けたノンフィクションです。著者の沢木耕太郎氏が通り一遍の取材で書き上げたものでなく、自らがボクサーの練習に付き合い、試合のマネージメントをし、そのために自分の著書の印税をつぎ込む。物書きの端くれとして、いろいろと考えさせられます。
 でも、そんな面倒くさいことを抜きにして、とにかく熱くさせてくれます。


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