« 無線LANの常識と非常識。11aの方が障害物があっても高速? | メイン | 新しい無線LAN・IEEE802.11nはどれくらい速いのか »

無線LANの新規格、IEEE802.11nとは? どうして100Mbps以上で通信できる

《2006年11月14日》 《カテゴリー:ネットワーク

速度の理論値が最大130Mbpsという、
IEEE802.11nのドラフト(草案)に基づいた製品がいくつか登場しています。
http://buffalo.jp/products/catalog/item/w/wzr-g144nh/
http://121ware.com/product/atermstation/product/warpstar/wr8200n/

11nとは何ぞや、とは上のサイトに詳しく紹介されていますが、
複数(3本)のアンテナを使って反射波も利用することにより、
高速化を図る(さらに通信距離を伸ばす)というもの。
「MIMO(マイモ)」という技術です。
アンテナが複数あるとはいっても、
複数のチャンネルを使うわけではありません。
反射波(マルチパス)はアナログのテレビではゴーストの原因になりますが、
携帯電話などでは反射波があることを前提としてデジタル信号を処理するので、
ビルの間でも安定して、しかも高い品質で通話ができます。
(このあたりは地上デジタル放送でも同じ)

製品化された11nを見て疑問に思ったのが、
どの周波数帯域の電波を使っているのか?
現在の製品は11b/gと同じ2.4GHz帯を使っています。
しかし、規格では2.4GHz帯に限られるわけではなく、
将来的には5GHz帯を利用した11n製品も登場する見込み。
現時点では2.4GHz帯のドラフト11n対応チップセットしか存在しないため、
どの製品も2.4GHz帯を使うという状態になっているだけです。

また、現在のドラフト11n対応製品は、
理論的な最大速度が130Mbpsですが、
いずれは300Mbpsまで拡張される予定です。
現在は1チャンネル(20MHz分)しか使っていませんが、
11nの規格では2チャンネル(40MHz分)を使って通信する方式も定義されています。
ところが11b/gの場合、2チャンネルを占有することが難しい。
というのは1チャンネルは20MHzの帯域を持っているにもかかわらず、
11b/gの1~14チャンネルは5MHzきざみで定義されているため。

・1チャンネル 2412MHz
・2チャンネル 2417MHz
・3チャンネル 2422MHz
・4チャンネル 2427MHz
・5チャンネル 2432MHz
・6チャンネル 2437MHz
・7チャンネル 2442MHz
・8チャンネル 2447MHz
・9チャンネル 2452MHz
・10チャンネル 2457MHz
・11チャンネル 2462MHz
・12チャンネル 2467MHz
・13チャンネル 2472MHz
・14チャンネル 2484MHz
(日本国内では14チャンネルは使われない)

たとえば、あるAPが3チャンネルを使っていれば、
実際は1~6チャンネルの範囲に電波を飛ばしてしまっているわけで、
それと干渉しないように設定するには4チャンネルではなく、
7チャンネル以降を設定する必要がある。
14のチャンネル数があるとは言っても、
実質3チャンネルしか使えないわけです。
ここで11nが2チャンネル占有しようとすると、
1つのAPがほぼすべてのチャンネルを使い切ってしまうことになる。

しかし、この制限が生じるのは11b/gの2.4GHz帯だけで、
5.2/5.3GHz帯を使う11aでは、
チャンネルごとに周波数がきっちり分かれていて重なり合うことはありません。
というか11aのAPの設定を見てみるとチャンネル番号が飛んでますから、
重なり合うように設定ができないのです。

・36チャンネル 5180MHz
・40チャンネル 5200MHz
・44チャンネル 5220MHz
・48チャンネル 5240MHz
・52チャンネル 5260MHz
・56チャンネル 5280MHz
・60チャンネル 5300MHz
・64チャンネル 5320MHz

ちゃんと20MHzきざみになっていることが分かります。
11aでは8チャンネルしか定義されていませんが、
その8チャンネルを干渉なしに丸々使えます。

で、11nの話に戻ってくるわけですが、
5.2/5.3GHz帯であれば2チャンネルを束ねて使う「チャンネルボンディング」が、
比較的簡単に実現しやすい。
しかし、現在では電波法によって、
チャンネルボンディングが認められていないため、
300MHzの通信を実現するには電波法の改正が必要になります。

今のところ総務省&情報通信審議会では、
高速無線LANを実現するために、
新たに5.6GHz帯を利用可能にする案が浮上しています。
そうなると利用できるチャンネルが2倍以上に増えるため、
そのタイミングでチャンネルボンディングが実現するのではないかと思われます。
また、新しい帯域では40MHzきざみのチャンネルにするという案もあり、
11nなど新しい規格だけが利用するチャンネルになるかもしれません。
(20MHzと40MHzのチャンネルを混在させるのはいろいろ課題があるようです)

また、草案段階の11nが正式な勧告となるのはまだ時間がかかりそう。
当初の予定では2007年10月に標準化完了となっていましたが、
そのスケジュールよりは送れているようです。
(現在はドラフト1ですが、2006年11月に出る予定のドラフト2がまだ出ていない)

どうしても現在の無線LANでは通信が安定しないとか、
100Mbpsに迫る高速無線LANが必要だとか、
明確な理由がなければ急いでドラフトの製品に手を出すこともないと思います。
ドラフトから正式な11nの間で変更があるかもしれませんし。

関連リンク
ASCII24・802.11nのいま
http://ascii24.com/news/s/specials/2006/07/24/663495-001.html
情報通信審議会 情報通信技術分科会 5GHz帯無線アクセスシステム委員会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/5ghz_musen/5ghz_musen.html
インテル・802.11nによって実現する次世代無線LAN
http://www.intel.co.jp/jp/developer/update/contents/wi08041.htm
PC Watch・超高速無線LAN規格IEEE802.11nへの期待
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0403/hot417.htm

 

投稿者 yasu : 2006年11月14日 14:08

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.center-left.com/cgi-bin/mt4/mt-tb.cgi/1412


コメント




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)