PCのバックアップには2つの種類があります。どちらか片方だけというのでなく、両方のバックアップを組み合わせるのがベストです。
データのバックアップは可能な限り短い間隔で実行すべきです。PCの利用目的によっては一日一回では不十分であり、1時間ごとに実行してもかまわないほどです。間隔を短くするほど、トラブルがあったときに直近のデータを取り戻せます。
あまり短い間隔でバックアップすると負担が大きくなると思われるかもしれませんが、その間に新規作成・更新されるファイルの数はけっして多くはありません。一日一回バックアップするよりも一時間一回の方が毎回のバックアップは短時間で終了するはずです。
もう一つのハードディスク全体のバックアップはシステムのトラブルに備えて行います。ファイル単位のバックアップでは、システムが破損したときに対処できません。WindowsなどOSが起動するときはブートセクタなどの特殊な領域を利用します。ブートセクタとはハードディスクの領域(パーティション)の先頭にあるセクタであり、ここに書き込まれたプログラムによってOSのファイルが読み込まれます。通常のファイル単位のバックアップではブートセクタなどをバックアップすることができません。ハードディスクの領域をイメージとしてバックアップする必要があります。
領域単位のバックアップはそう頻繁に行う必要はありません。システムに大幅な変更を加えたときに実行するだけで大丈夫です。せいぜい週に1度、使い方によっては1カ月に1度でもいいかもしれません。
| バックアップの対象 | バックアップの方法 | バックアップの頻度 |
| データのバックアップ | ファイル単位でコピーする | なるべく短い間隔で実行する |
| システムのバックアップ | 領域単位でイメージ化する | 必要に応じて実行する |
しかし、「データのバックアップ=ファイル単位」「システムのバックアップ=領域単位」の図式が成り立たないこともあります。たとえば、「Cドライブをシステム専用、Dドライブをデータ専用」というように領域ごとに用途を明確に分けている場合、データをバックアップするためにDドライブ全体をイメージ化するという方法があります。
データを誤って書き換えてしまったときなど古いデータが必要になることがあります。最新のデータしかバックアップしていないのであれば、古いデータを取り戻すことができません。直近のデータだけでなく、過去何世代かのデータも保管しておくと役立つはずです。
高機能なバックアップソフトの場合、世代管理の機能も備わっています。方法はバックアップソフトごとに異なり、ファイルが上書きされたときに一定の回数分を保管しておくもの、設定した期間内は何回更新されても保管しておくものなどがあります。管理人も大事なデータをうっかり上書きしたことがあり、世代管理の機能には助けられた経験があります。なるべく古いデータまでとっておけば安心なのですが、そうするとバックアップ媒体の容量もそれだけ必要になるため、バランスのいい設定を見つけ出さなければなりません。
また、バックアップソフトの機能に頼ることなく、手動で世代管理を行う方法もあります。たとえば、毎週末にDVD-Rへすべてのデータのバックアップをとるようにすれば、週末ごとのデータを残すことができます。メディアのコストはかかりますが、もっとも確実な世代管理と言えるでしょう。
バックアップソフトの設定画面で「差分」や「増分」という用語を見かけます。これは、バックアップ時間を短縮したり、バックアップ先の容量を節約するための工夫の一つです。
まず、「完全バックアップ(フルバックアップ)」が通常の方法であり、バックアップすべきデータをすべて保存します。データが大きいとバックアップに時間がかかります。一方、「差分バックアップ」や「増分バックアップ」は1回目だけは完全バックアップを行い、2回目以降は1回目から変更された部分だけをバックアップする方法です。最初は時間がかかるけれども、2回目以降は変更部分だけをコピーすればいいので短時間でバックアップが終了します。ちょっと難しいのが「差分」と「増分」の違いです。「差分」は前回の完全バックアップ以降に追加・変更されたすべてのファイルが対象になり、「増分」は直近のバックアップ以降に追加・変更されたファイルが対象になります。
| 対象 | 作業時間 | 必要容量 | |
| 完全バックアップ | すべてのファイル | とても長い | 大きい |
| 差分バックアップ | 前回の完全バックアップ以降に更新・追加されたファイル | 短い | 小さい |
| 増分バックアップ | 直近のバックアップ(完全・増分)以降に更新・追加されたファイル | もっとも短い | もっとも小さい |
上の表のように比較してみると、もっとも短時間で終了し、容量も節約でききる「増分バックアップ」がもっとも有利なように見えます。しかし、増分バックアップには大きな欠点があるのです。それはデータを復元するとき、バックアップしたファイルのうち一つでも破損していると、正常にバックアップできない可能性があるところです。差分バックアップであれば、前回の完全バックアップと最新の差分バックアップのファイルから復元が可能です。しかし、完全バックアップの後に100回の増分バックアップを繰り返したときは、100回分のすべてのバックアップファイルが必要になります。
こうした利点と欠点をよく理解した上でバックアップのスケジュールを決めなければなりません。大容量のデータを確実にバックアップしなければならない企業ユーザーの場合、業務量が少ない週末に完全バックアップを行い、平日は差分バックアップ、もしくは増分バックアップを行うというように複数の方式を組み合わせるのが一般的です。完全バックアップは時間がかかるからといって、何カ月も増分バックアップだけを続けるのは危険です。
バックアップソフトの多くは、データを圧縮して専用の形式で保管します。HDDのデータをそのままバックアップするとサイズがあまりに大きくなるため、圧縮することで容量を節約できるようにしているのです。データの内容によっても異なりますが、ワープロの文書ファイルではだいたいサイズが半分くらいに小さくなります。たとえば、マイドキュメントに5〜6GBのデータが入っていたとしても、専用形式で圧縮すればなんとかDVDにも記録できます。また、世代管理によって古いデータもとっておきたいときは、圧縮でサイズが小さくなればより古いデータも残しておけます。
一方では特に圧縮などの操作をせず、ファイルをそのまま別の場所にコピーするという方法もあります。サイズは小さくなりませんが、専用のソフトを使ってデータを復元しなくても、バックアップ先から直にデータを読み込めるのが利点です。たとえば、誤ってファイルを削除してしまったとき、バックアップ先からファイルをコピーするだけで復元は完了です。また、外付けHDDにバックアップしたときは、ほかのパソコンにつなぎ直すとすぐにデータを読み出せます。専用形式を使うバックアップソフトでは、そのソフトがなければデータを復元できず、ファイルを1つだけ復元するのも面倒です。
どちらの方法がいいか、一概に言うことはできません。データのサイズがあまり大きくなく、日常的にバックアップを行うならファイルをそのままバックアップする方がメリットが大きいでしょう。一方、世代管理などを行うには専用形式を用いることになります。なお、Windowsを含んだ起動ドライブをバックアップするには専用形式を用いたバックアップを行うことになります。ファイルをコピーするだけのバックアップでは、起動に必要なシステムファイルをバックアップできません。
管理人の場合、複数のバックアップソフトを常駐させて、両方の方式でバックアップを行っています。1台のHDDには「DataKeeper」で専用形式のバックアップ、もう1台のHDDには「RealSync」を使ってファイルをそのままコピーしています。DataKeeperは世代管理によって、5世代前のデータまで保存するように設定しています。詳しくはこちらのページを参照してください。