バックアップ先の媒体を選ぶ

HDDのみが現実的な選択肢

 PCのHDDは大容量化が進み、数百GBなんて大きなサイズになっています。これだけ多くのデータを保存できるのはHDDだけです。バックアップ先にフロッピーディスクを使うなんて10年前の発想です。CD-RやDVD-Rも容量不足であり、データのサイズが大きいときは何枚にも分ける必要が出てきます。また、書き込みの速度が遅いために、毎日のバックアップが負担になることでしょう。PCに2台目のHDDをつなぎ、そこにバックアップをとるのが唯一現実的な選択です。

 HDDを使う利点は次の2つです。

  1. 数百MBという大きな容量を持っている。しかも容量あたりの単価はCD/DVD-Rとほとんど変わらない。
  2. ほかの記録媒体とは比べものにならないほど高速に読み書きできる。バックアップが負担にならない。

 内蔵HDDが2つの領域(CドライブとDドライブ)に分かれているとき、1つ目の領域のデータを2つ目の領域にバックアップするという方法があります。つまり、Cドライブの内容をDドライブにバックアップするわけです。Cドライブの内容が破損しても、Dドライブから復元することが可能です。しかし、この方法ではHDD自体の障害に対応できません。PC内蔵のHDDとは別のHDDを用意すべきです。

 バックアップ専用のHDDを追加する利点は次の2つです。

  1. 2台のHDDが同時に壊れることはほとんどない。どちらかが壊れてもデータは残る。
  2. もしメインのHDDが壊れても、他のHDDにつなぎなおすとすぐにデータを取り出せる。

バックアップに適したHDD

 バックアップ用のHDDはどんなタイプでもかまいません。十分な容量があれば、内蔵でも外付けでもかまいません。何を選べばよく分からないなら、USBでつながる外付けHDDを選んでおけばいいでしょう。100GB以上のHDDでも1万円台から購入できます。オフィスで何台ものマシンがあるときは、LAN接続のHDD(NAS)を使うとそれぞれのマシンにHDDを用意する必要がありません。

  1. 内蔵タイプのHDD
     値段が安く、読み書き速度も速い。PCの内部に増設できるスペースがあるならおすすめ。ただし、取り付けはちょっと面倒なので、自信のない人は避けた方がよさそう。
  2. USBでつなぐ外付けHDD
     もっともお手軽なタイプ。商品の選択肢も多い。PCとUSBケーブルでつなぐだけで使える。迷ったときはこのタイプにしておけば間違いない。内蔵タイプに比べると読み書きの速度が遅いとはいえ、数十GBのデータを毎日コピーするなんてことがなければ十分な性能を持っている。
  3. IEEE1394でつなぐ外付けHDD
     USB2.0に未対応の古いパソコンの場合、IEEE1394でつなぐHDDを選ぶ。USBとIEEE1394のどちらにも対応した外付けHDDを選んでおけば確実だろう。読み書き速度はUSB2.0とあまり変わらない。
  4. eSATAでつなぐ外付けHDD
     SerialATAという新しい接続方式を外付けHDDで使用するもの。内蔵のHDDと同等のスピードで読み書きできる。しかし、eSATAのコネクタを標準装備するパソコンはほとんどない。PC内部のSerialATA端子を専用のケーブルで外に引き出して使うことが多いが、そんな作業をするくらいなら最初からSerialATAの内蔵HDDを使った方がいいという話もある。今後に期待したい。
  5. LANでつなぐ外付けHDD
     「NAS」と呼ばれる製品。複数のPCから一台のHDDを共有できるのが便利なところ。何台ものPCを使っているオフィスではこのタイプがおすすめ。しかし、読み書きの速度が遅いほか、利用するにはネットワークの知識も必要になる。明確なメリットがない限りは、このタイプは避けた方がいい。

DVDを使ったバックアップ

 バックアップ媒体としてDVDが力を発揮する場面もあります。長期保存が必要なデータは、書き換えができないCD-RやDVD-Rに書き込んでおくのが確実です。

 バックアップ先としてのDVD-Rには次のようなメリットがあります。

  1. 容量あたりの単価が安い。まとめて買うと一枚100円程度、1GBあたりのコストは20円強である。
  2. 誤ってデータを消す心配がない。重要なデータを長期保管するのにぴったり。
  3. 世代管理を行うのに適している。週ごとに別のDVD-Rにバックアップをとれば、その時点ごとのデータが残る。

 ただし、DVD-Rの容量は1枚4.7GB(Windowsから見たときの容量は4.37GB)しかなく、それ以上のデータをバックアップするには複数枚に分けるしかありません。ディスク交換の手間がかかるのが難点です。また、DVD-Rは保管状態が悪いとデータを読み出せなくなることがあります。直射日光に当てたり、記録面に傷を付けたりしてはいけません。書き込んだ後はケースに入れて、暗くて涼しい場所に保管します。

 バックアップすべきデータの量が少ないときは、HDDとDVDを併用することで安全性を高められます。HDDにはつねに最新のデータをバックアップし、DVDでは世代管理を行うといいでしょう。特に重要なデータを扱うときは複数のバックアップ方式を併用すべきです。

 世代管理が必要ないならば、DVD-RAMのような書き換えが可能なタイプ(リライタブル)をつかえます。リライタブルなDVDには、ほかにもDVD-RWやDVD+RWがありますが、DVD-RAMには次のようなメリットがあります。

  1. 耐久性が高い。DVD-RWやDVD+RWは1,000回程度の書き換えしか保証されていないが、DVD-RAMは10万回の書き換えにも耐えられる。これは記録層の材質が異なるため。
  2. 信頼性が高い。データが正常に書き込まれているかを確認する機能(ベリファイ機能)が標準で備わっている。その分だけ書き込みは遅くなるが、コピーの失敗を防げる。
  3. キズに強い。DVD-RAMにはカートリッジ入りの規格があり、ディスクに傷が付くのを防げる。ただし、カートリッジに対応したドライブを使う必要がある。

オンラインストレージを利用する

 光ファイバのような高速なインターネット接続が普及すれば、「オンラインストレージ」をバックアップ先に使うことも増えてくるはずです。オンラインストレージとは、インターネット上のサーバーのディスクスペースを借り、そこに自分のデータを保存できるサービスのことです。通常は大容量のデータを送信するときや、離れた場所にある複数のパソコンでデータを共有するときに使われますが、もちろんバックアップに活用することもできます。

 現在は利用料金が比較的高いため、個人で利用する場合はバックアップするデータを絞り込む必要があります。しかし、将来的に料金が下がってくると、HDD全体をバックアップすることが可能になるかもしれません。ファイルサーバーを自分で設置してそこにバックアップするという方法もあるでしょうが、オンラインストレージはハードウェアのメンテナンスを自分で行う必要がありません。専門家にメンテナンスをまかせられるため、安心して使えるのがメリットです。

2台目のパソコンをバックアップ先に

 個人の場合は複数のパソコンを用意して、2台目のパソコンをバックアップ先に使うという方法も有効です。メインマシンのほかにもう一台のパソコンを用意します。古くなって普段は使っていないパソコンでも、持ち運び用のノートパソコンでもかまいません。そこにメインマシンと同じソフトをインストールしておき、定期的にメインマシンのデータをコピーします。

 もしメインマシンが壊れてもサブのパソコンですぐに作業を引き継ぐことができます。HDD以外のパーツが故障してメインマシンが使えなくなったときでも、仕事を継続できるのが最大のメリットです。バックアップといえばHDDの中身のことだと思われがちですが、それだけではハードウェアの故障に対処することができません。本当に重要な業務にパソコンを利用しているなら、ハードウェアのバックアップも用意しておくべきです。

 2台目のマシンへのバックアップは、外付けHDDへのバックアップなど他の方法と併用することをおすすめします。2台目のパソコンの電源をずっと入れっぱなしにしておくことは現実的ではありません。外付けHDDにデータをリアルタイムでバックアップし、もしメインマシンが故障したときは外付けHDDをサブのマシンにつなぎかえる。こんな方法をとることになるでしょう。