今まで、HDDが故障して大事なデータを失ったことはありませんか? もし一度もHDDの故障を経験していないとすれば、それはたまたま運が良かっただけです。HDDは想像以上に壊れやすいパーツです。HDDの中には小さな円盤が入っていて、毎分数千回転という超高速で回り続けています。また、高速回転するディスクの目的の場所からデータを読み出すために、ヘッドもまた目にとまらぬ速さで動き続けます。こんな激しい動作をするHDDがよく何年も壊れずに使えるものだと感心するくらいです。
HDDが壊れる前にはたいてい予兆があります。「カコンカコン」「カチカチカチ」「ギュイーン」といった異音を発生したり、データを読み出すのにとてつもなく長い時間がかかったり、とにかく何らかの兆候があります(まれに突然死することもあるらしい)。少しでも異常を感じれば、すぐにデータをバックアップして新しいHDDに交換すればいいのですが(もしくはメーカーに修理に出す)、普段からバックアップしていないような不精者にスピーディーな対応など望むべくもありません。気がついたときには手遅れで、もう取り返しがつかない状態になってしまうのです。
ちなみにHDDにトラブルがあったときはこんな音がします。HDDのトップメーカーである日立グローバルストレージテクノロジーズ社のウェブサイトで音声ファイルが公開されています。このページで音を聞いてみてください。
壊れたHDDからデータを取り出すのはあきらめた方がいいでしょう。「HDDを冷蔵庫の中に入れて十分に冷やしてやるとしばらく動く」なんて小技もありますが、いつもその手が使えるとは限りません。また、壊れたHDDからデータを取り出してくれるサービスがありますが、安くても数万円、大容量HDDなら数十万円から数百万円というとてつもない費用がかかります。「このデータがないと会社が倒産してしまう!」なんて超重要なデータでもないかぎり、おいそれとサービスを利用するわけにはいきません。
そういうわけで、普段からのバックアップは欠かせないのです。
HDDが物理的に故障しなくてもデータが消えることがあります。パソコンをずっと使い続けていると、動作が不安定になったり、ひどい場合はWindowsが起動しなくなったりすることがあります。これはHDDの不具合が原因になることもありますが、ほとんどはソフトウェアのトラブルです。特に設定を保存する「レジストリ」と呼ばれるファイルが破損したときに、Windowsが起動しなくなるなどのトラブルが発生します。こうしたトラブルが起きたときは、Windowsを再インストールしたり、自動バックアップされたレジストリを復元することで復旧することができます(WindowsXPには定期的にレジストリを自動バックアップする機能があります)。
ところが、メーカー製パソコンの場合、WindowsのインストールCDが付属しないことが多いようです。Windowsだけを単独で再インストールすることはできず、「リカバリー」によってHDDの内容を出荷時の状態に戻すことで復旧をはかります。メーカーのサポートセンターに電話をしたとき、不具合の原因がはっきしりしないときは「リカバリー」をするように指示されることが多いようです。
ところが、データを待避しないままリカバリーを実行すると、HDDのデータはきれいさっぱり消えてしまいます。削除されたデータは二度と戻ってきません。本当はデータをバックアップしてからリカバリーをしなければならないのですが、メーカーはその手順まで親切に教えてはくれません。Windowsが起動しなくなってから必要なデータをバックアップするのはとても面倒な作業です。
そういうわけで、普段からのバックアップは欠かせないのです。
ユーザーのミスでデータが消えることもあります。「ファイルを選択した状態で間違えてDeleteキーを押してしまった」なんて経験はありませんか。標準の設定ではファイルをゴミ箱に移動する前に確認メッセージが表示されるのですが、いちいちメッセージが表示されるのは面倒だからとメッセージを表示しない設定にしている人も少なくないはず。大事なファイルがいつの間にかゴミ箱にはいっていて、中身を確認することもなくゴミ箱を空にしてしまった。こうなるとデータを取り戻すのはやっかいです。
また、オリジナルのファイルがあって、そこに修正を加えて別名保存しようとしたところ、うっかり上書き保存してしまった。こうなるとオリジナルのファイルを取り戻すことはできません。ある会社に出した見積書にちょっと変更を加えて、別の会社に出そうとしたところ、上書き保存で元の見積書が消えてしまった。正確な数値は覚えていない。これは困ったことです。故障などのトラブルだけではなく、ユーザーのミスも想定しなければなりません。
そういうわけで、普段からのバックアップは欠かせないのです。